A Jacket Well Worn: 柳亜矢子さん

A Jacket Well Worn: 柳亜矢子さん

都内サロンでヘアスタイリストとして経験を積んだのち、2026年6月に自身のヘアサロン「TWO」を鎌倉にオープンした柳 亜矢子さん。

ヘアスタイルと響き合う、スパイスの効いた独自のファッションスタイルも支持を集めています。

 

今回は、そんな柳さんが独立に至った経緯やファッションの楽しみ方についてお話を伺います。

まずは柳さんのこれまでの経緯、お仕事内容について教えてください。

神奈川の出身で、東京の専門学校に通ったのちに、代官山にあるサロンに就職しました。

高校生の時に初めて訪れた時から代官山という街への憧れがあって、この街で働きたいと思っていたんです。何店舗もあるような大手サロンよりも、路地に入った隠れ家サロンの

ような、一店舗だけの特別感みたいなものに強い憧れを抱いていて、当時はそういう目線で就職先を選びました。20年ほど会社員として働き、今年6月にこのサロン「TWO」をオープンしました。

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美容師になろうと思ったきっかけについて教えてください。

自分が好きだった「ファッション」と「表現」が重なったのが、美容師だったんです。

元々、絵を描いたりといったものづくりが好きで、実は小学生の時の夢は漫画家でした。岡崎京子さんという漫画家さんの描く女の人のヘアスタイルだったり、横顔や手、肩のラインがすごく好きで、よく真似して描いていました。

中学生くらいからファッション誌を見るようになって、女の子の洋服の絵もたくさん描くようになりました。漠然とファッションの仕事に就きたいと思っていた頃に、ファッション誌のヘア特集を見て「その場で表現できる美容師って面白そう!」と直感的に思ったんです。全然計画性はなくて、「私、美容師になるから」と公言してから、自分の中で固めていった感じでした。

私がカットを習った頃は髪型のイメージもイラストで描くのが一般的で、撮影の打ち合わせでもデッサンを描いて「こんな感じのヘアでいきます」と提案したり。

子供の頃から女の子の絵を描いていたことも活かされて、髪型の描き方を後輩に教えたりもしていました。手元で絵に描き起こすことで、バランス感覚が磨かれるように感じていました。

独立してご自身のサロン「TWO」をオープンする決断を後押ししたものは何でしたか?

まさか自分が鎌倉でサロンを開くとはと思ってもいなかったです。美容師になるきっかけと同じで、人生における大きな決断も、計画性なく直感で決めてきたような気がします。

きっかけは7年前に友人夫婦が葉山に引っ越したことで、何度か遊びに行くうちにすごくこの土地が好きになって。「葉山は遠いけど鎌倉なら通えるかも」と、思いつきでまずは住まいを移したんです。そのタイミングでも一度独立を考えたんですが、そうするとお客様が通うのに遠くなってしまう。自分よりもお客様にとってどうかの方が重要だと思って、「自分が東京へ通えるうちはもう少し頑張ろう」と、片道1時間半の通勤を続けていました。でもやっぱり、自分の今後を考えるとどこかで区切りをつけないといけない。心の中のせめぎ合いが2、3年ありました。

そんな中で、去年、勤めていた会社の組織が変わり、それが具体的に自分を突き動かしたと思います。ずっと組織の中で、教育も兼ねてアシスタントがいる状態で働いていたので、シャンプーやお会計、発注、在庫管理は自分の役割ではなかったんです。でも人が抜けたり足りなくなったことをきっかけに、自分で全部できればどうにかなると思うようになって。独立も視野に入れるならいい機会だと思い、辞めるまでの半年くらいで急速にできることが増えました。良いことも悪いことも、可能性やチャンスを広げるきっかけになって、自分の背中を押してくれました。

ずっと組織に守られていた分、独立当初は思い通り動けないことがしんどかったですが、「慣れるしかない」と思って働くうちに、楽しさに変わっていきました。遠くなってもわざわざ来てくださるお客様がいたり、このお店の空間を喜んでもらえたり、新しい出会いもあったりして、今は本当によかったと思っています。

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三角屋根の形に沿う全面窓からたっぷりと光が入る店内。柔らかな色彩の中に、柳さんの好きなものたちが並ぶ。壁ではなくカーテンでゆるやかに仕切ることで、空間の広がりを感じられるよう工夫したそう。「大人の女性がリラックスできるような、モダンな空間を目指しました」。

ファッションにおいて、ヘアスタイルはどんな役割を担っていると感じますか?

「ヘアスタイルがキマっていないと、服も決まらない」と思っています。美容院に行くのも昔から大好きで、高校生や専門学生の時も、ショートにしたりボブにしたりとヘアスタイルを楽しんでいました。ベーシックなアイテムも、ショートヘアだったり、今の私の髪型だったりで着るとまた違った風に見えるのが面白い。そうやって髪型とファッションのバランスを楽しむのが好きですね。

柳さんが日々のコーディネートで大事にしていることを教えてください。

私の場合はまず最初に髪型があって、そこから「この髪型とこの服は合うかな」「どういう風に着たらこの髪型ともバランスがいいかな」と考えます。例えば、今の私の髪型で王道のコーディネートを着るのはつまらないし、「自分じゃなくても似合う人がいる」って思うんです。ベーシックなアイテムでも、「せっかく自分が着るなら」というところを意識してコーディネートを考えています。

年齢を重ねるうちに自分に合うスタイルがわかってきて、選ばない色やものだったり、自分なりのルールがある中で、自然と洋服を選んでいます。個性的に振りたいわけじゃなくて、ちょっと遊びを加える感じが自分らしいなと思います。

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「せっかく自分が着るなら」という言葉が特に印象に残りました。誰かの真似ではなく、自分だから活きる着こなしや髪型を見つけることで、ファッションがより楽しくなるかもしれませんね。

昔は自分に似合うかよりも、着たい服を選んだり、誰かの真似をすることもありました。でも今は、「他の誰かは似合っているけど、私には着こなせないな」「この服は素敵だけど、もっと似合う人に着てもらえばいい」と思うようになりました。

このサロンも、世の中の万人に向けて発信するより、見ているものや持っているものが近い人や、共感してくれる人に届いていけば嬉しいです。

ファッションにおいてのジレの魅力はどんなところにあると感じますか?

袖のあるアウターよりも色々な着回しが楽しめるところが好きです。カットソーでもシャツでも、重ねるだけでちょっとした個性が加わる。いつも同じような着こなしになっちゃうという方も、スタイリングに変化をつけたい時にジレを選ぶといいんじゃないかなと思います。私の場合は、ジレは自分のコンプレックスに対応してくれるアイテムでもあります。

身長がそんなに高くなくて、下半身がわりとしっかりしているので、トップスはピタッとするシルエットにして、複雑にレイヤードせず、すっきりと清潔感のある着こなしが合うと思っています。

そういうコンパクトなカットソーやニットの上も、ジレを重ねれば変化をつけられます。ラベンハムのジレは、レイヤードしてもシンプルですっきり仕上がるところも気に入っています。アウターの中にも仕込めるし、サロンワークでも着られるので、ジレ(ベスト)はたくさん持っていますね。

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「ジレ自体が印象的なので、ジレを主役に引き立てた方がスッキリと着られそうかなと思い、黒をベースにきれいめに仕上げました」。

着用アイテム:Black Edition Coffee Dyed Front Bow Gilet Womens / ブラック エディション コーヒー ダイド フロント ボウ ウィメンズ / サイズ:8

https://www.lavenham.jp/collections/womens-black-edition/products/lv14144

柳さんがご着用しているのは、「ブラックエディション」という実験的なコレクションのジレ。このアイテムを手に取った理由を教えてください。

パッと目に入る印象的なデザインで、「コーディネートのアクセントとして遊べるかな」と思いました。ファッションを組み立てる時に、“カジュアル”が自分の中のベースとしてありつつ、ハズシや遊びを入れたい時のアクセントとして、他にはないものを選びたくなっちゃうんです。新鮮さがあって、スタイリングをピリッとさせてくれますよね。

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「デニムとキルティングジレのベーシックな着こなしですが、ジレのデザインが効いているのでスパイスになります。さらに個性のあるネックレスで遊びを加えました。」

自分らしいスタイルを楽しまれている柳さんですが、お客様へヘアスタイルを提案する際には、どんなことを大切にしていますか?

「あなたにこのヘアスタイルにした理由」を言葉にして添えるようにしています。そうすることで、その人にとっての価値が上がるというか、自分だからこその理由を知ると嬉しいですよね。ただオーダーに答えるだけじゃなく「こうやってカットしたから、しばらく経って伸びても良い感じですよ」「一つの髪型でこんなアレンジもできますよ」という数ヶ月先の話をしたりもします。

私の元に来てくださるお客様は、ご自身のセンスやスタイルがある方が多いので、私がゼロから作るよりは、その人がより服が似合うようなプラスアルファのになるような提案や仕事をしていると思います。カットラインを少し変えるだけでも、 印象が変わるので。

10年以上にわたって"服が似合う髪"というものを掲げていて再現性が高いとか、あつかいやすいとかそういうことは大前提なのですが、それよりも私が作ったヘアで、今よりもっとファッションが楽しくなって、服が似合うと良いなという気持ちで服が似合う髪とキャプションに書き続けています。

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ラベンハムは、職人が何十年も同じものを作っているファクトリーブランド。そこにプラスアルファのアレンジを加えているのが「ブラックエディション」です。ベースは崩さずにアレンジで個性を出すという考え方が、柳さんのファッションや、ヘアスタイル提案のお話とも重なりました。

最後に、美容師という仕事の1番の面白さは、どんなところにありますか?

その場でしかできないライブ感です。今のお客様のコンディションの中で、どこまで魅力を引き出せるか。似合わせるのももちろん大事なんですけど、やっぱりそこに“自分っぽさ”を刻みたくなる。誰かのヘアスタイルと同じにしたりするトレンドとは逆になっちゃうかもしれないけど、自分が持っているものの中で表現して、刺さる人に刺さればいいかなと思っています。

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柳 亜矢子

神奈川県出身。美容専門学校を卒業後、スタイリストとして都内サロンに勤務。

新店舗の立ち上げやディレクターを務めるほか、ファッション誌や広告などのヘアメイク、技術指導、コンテスト審査員など幅広く活動。2026年6月、鎌倉に自身のサロン

「TWO」をオープン。その人らしさを引き出すヘアスタイルに厚い信頼が寄せられている。ヘアスタイルを軸に、独自の感性で楽しむファッションにも注目が集まる。

INSTAGRAM: @ayakoyanagi
https://www.instagram.com/ayakoyanagi/

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【TWO】

〒248-0006 鎌倉市小町2-10-20魚浦ビル 2F
営業時間: 10:00am ~ -17:00pm

*ご予約方法などは、Instagramにてご確認ください。

INSTAGRAM: @two_kamakura
https://www.instagram.com/two_kamakura/

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