A Jacket Well Worn: 内村太郎さん

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横浜港開港時から栄えた元町商店街と、異国情緒あふれる山手本通りをつなぐ代官坂。日本の玄関口として歩んできた横浜の面影を残すこの坂に、「とけい・メガネ・リペア ウチムラ」はあります。
今回は、三代目店主・内村太郎さんにお話を伺いました。

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__これまでの経緯、現在のお仕事について教えてください。__

この「ウチムラ」というお店は、祖母の代から始まって僕らで三代目、店としては82年目になります。
僕は元々家業を継ぐつもりは無く、“接客を通してお客さんに喜んでもらう仕事がしたい”という想いから、新卒で大手百貨店に就職したんです。でも、大企業だったこともあり自分のできる範囲は限られていて、もっと密にお客様と接したいと思いました。“お客様に喜んでもらう”ことを目指すなら、業種にこだわる必要はないと気づき、父が二代目として営んでいたウチムラに入ることに決めました。

子供の時から父親の姿を見ていて、長い間頼ってくださるお客様が大勢いて、喜んでくださる姿も見てきました。この店を続けることに社会的意義のようなものを感じ、自分にとって価値のあることだと感じたんです。今も祖母や父親の代からのお客様が来てくださり、そんなつながりも嬉しいです。

時計を扱うからこそ感じる幸せは、どんなところにありますか?

時計って、おじいさんやお父さんから受け継がれたものだったり、何かの記念に買ったものだったり、その人にとってのお守りのような特別ものになっていく側面があります。そのストーリーを引き継ぐことで、お客様の人生を少し豊かにできるのは、この仕事ならではの喜びだと思います。

言語化するのは難しいんですが、その時計が大切に使われてきたかどうかは肌で感じることができて、販売店に眠っていたものとでは大きな差があるんです。この間は、おばあさまから受け継いだという70~80年くらい前のロレックスの時計を修理しました。そういった時計を扱う際はプレッシャーも大きいですが、同じくらい喜びも感じます。

内村さん自身は、お父様から受け継いだものはありますか?

父がつくったウチムラの社是に『丁寧をつくる』という言葉があります。日本語としては少し違和感があるかもしれませんが、意味としては“時計を直す”とか“メガネをつくる”ということよりも前に、まず“丁寧”であることを大切にする、という考え方です。何をするにも、その一行目に“丁寧”という言葉がつくように行動すること。その精神こそが、父から受け継いだものの中で一番大きいと感じています。

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内村さんのお店では、ヴィンテージウォッチは主にカルティエ、セイコー、オメガに絞られていますが、
その理由はありますか?

僕の本業は修理技師なので、長く安心して使えることを何より大切にしてセレクトしています。これまで修理を通して、買ったヴィンテージウォッチが壊れて購入店でも直せない、どこに頼めばいいかわからないという相談を多く受けてきました。その中で、最初から丈夫なムーブメントを使った時計をセレクトし、その修理技術や部品をストックしておければ、もっと安心してヴィンテージウォッチを楽んでもらえると考えたんです。経験をもとにセレクトした結果、現在のラインナップに至りました。

内村さんにとっての“いいもの”とは?

「丈夫に長く使うためにこういう構造にしたんだ」とか、製作者の哲学や想いが感じられるものを“いいもの”と捉えています。例えば最高の素材を使って綺麗につくったとしても、そこに制作者の哲学がなければ、本当の意味で“いいもの”とは思えません。そうした想いを感じられるものだけをお店に置いています。

洋服を選ぶ際も、つくり手の哲学や想いが伝わるかどうかが決め手になります。さらに、“機能とファッションの中間”という絶妙なバランスにも惹かれます。ラベンハムのアイテムはまさにそのバランスを体現していて、哲学が機能性とファッション性の両面に表れているところに魅力を感じます。

ラベンハムを初めて購入したきっかけを教えてください。

3~4年前におこなった北海道・中標津のセレクトショップ『レンジライフ』でのイベントが、ちょうどラベンハムさんと入れ替わりだったんです。デザインと機能性のバランス、それからクラシックな佇まいが印象的でした。それから自分でも調べて、長い歴史を受け継ぎながら自社工場で生産を続けているブランドだということを知り、その背景にも惹かれました。

その出来事をきっかけにラベンハム横浜店を訪れて、その時に購入したのが「ブラックエディション*」のハイネックジレです。他のものとは雰囲気がまた違って、かっこいいなと思ったんです。袖のない
タイプだと動きやすくてあたたかいので、何かと便利ですよね。

ブラックエディション:ラベンハムクラシックスをベースにしながら、新たなキルトパターンや素材で再構築する、2024年の秋冬から始まったライン。
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2着目となる長袖ジャケット「レイドン」は、どんな時に着用されていますか?

車での移動が多いこともあり、普段あまりアウターを着ないんです。長袖アウターはなんだか肩や腕まわりが煩わしいイメージもあって、だから最初に手にしたのもジレでした。でも「レイドン」は軽くて動きやすくて煩わしさがなく、とても着やすかったんです。ハイネックジレもそうですが、自転車移動の時にも活躍しています。

>>Raydon Mens Rc / レイドン メンズ

ラベンハム横浜店を訪れた時の印象は覚えていますか?

あの海岸通りのあたりはすごく雰囲気がいいですよね。横浜に店舗を置きたい人にとっては憧れのエリアのひとつです。店舗が入っている古いビルの不思議な存在感も印象的でした。

LAVENHAM 横浜店のビルは1850年代に建てられた歴史ある建物で、時を超えて受け継がれてきた佇まいが、ブランドの理念とも重なりました。グローバルブランドとしても、古くから外国からの玄関口としての役割を担ってきた横浜の地に路面店を置くことは、意味があることだと感じています。
内村時計店はこの山手・元町に2024年に移転されましたが、どんな思いがあったのでしょう?

移転前は、横浜の中でものどかな三ツ境というエリアで、地域密着型の時計・メガネ店として商店街に店を
構えていました。それが僕の代になって、百貨店時代のつながりもありアパレルショップさんと一緒にポップアップイベントに取り組んだりするうちに、少しずつ活動範囲が全国的になっていったんです。海外からのお客様も増えて、もっと皆さんが来やすく、他のスポットとも一緒に楽しめる場所がいいと思うようになりました。

さらに、自分が扱っている時計やメガネは普遍的なアイテムなので、"横浜でクラシックな匂いがする場所"
と定義づけた時に浮かんだのが、山手・元町。すぐそこにはペリーが訪れた屋敷があったりと、この辺りは歴史深い場所なんです。街のイメージと一緒に店をブランディングすることで、その街の魅力も含めて買い物を楽しんでもらえたらいいですよね。そんな体験価値も届けたいと思っています。

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横浜で育った内村さんにとって、横浜はどんな場所ですか?

横浜ってなんとなくいいイメージを持たれていると思うんですけど、そのブランディングに対して
「実際どこ行ったらいいの?」という感覚もあると思っていて。最近は元町商店街や山手本通りと
いったメイン通りの裏道に当たるこのあたりにも、いいお店が増えてきている流れがあります。
これからまた少しずつ、横浜の街が面白くなっていくような気がしています。

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内村 太郎

大手百貨店勤務を経て、祖母や父の代から続く「とけい・メガネ・リペア ウチムラ」を継ぐ三代目
店主。“丁寧をつくる”という理念のもと、誠実な仕事ぶりと確かな技術で評判を集め、国内外から
修理の依頼が寄せられている。時計修理技師としての経験を活かした、同店ならではの堅実なヴィンテージウォッチの販売やメンテナンスは、初心者から時計好きまで多くの客から支持される。

Writer : Moe Shibata
Photographer : Shotaro Suganuma
Editor : Arisa Ogura

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